弊社は新型コロナウイルスの影響が出る前からテレワークの実施はありましたが、それはどちらかというと営業担当者が外出先の時間を有効に使うものを目的としており、会社へ来ることは大前提のものでした。
しかし、今回の新型コロナウイルスの蔓延以降は、さすがにそういうわけにもいかず、弊社も可能な従業員については原則テレワークにするよう舵を切っています。
全体をテレワークにすることによって、従業員にどのようなストレスがあったのかを今回はヒアリングをしてみました。(少しは内部監査室らしく……)
今回はその中でもコミュニケーションに絞って挙げられた具体的な声から、会社としてどのようなフォローをし、さらに働きやすく成果の出る組織にしていけるのかのヒントを探ります。
報告・連絡・相談のコミュニケーションコストが増える心配
今までより、さらに細かな報告が必要になるのは予測できていたので、それによって忙しくなってしまう心配はありました。
心配事として真っ先に上がった声としては、ただでさえ忙しいに状況で、より細かな報告を求められてしまい時間が無くなるのではないかという心配でした。
結果としても、上司から確認を求められる事は増え、色々とコミュニケーションコストが増えてしまっていたのは事実のようです。
インターネットを検索してみても、この部分については非常に多く声として見かけるように思います。
普段は全く気にならなかった、とても的確なサポートをしてくれる上司が、テレワークになった瞬間にとにかく邪魔なレベルで確認をいれてくるというものまでありました。
ただ、これについては上司の心理を考えれば、どうしてそうなってしまっているかということは想像に難くありません。
どうして報告のコミュニケーションが増えるの?
今までの業務のやり方でとても的確なサポートを入れてくれていたということは、その方は少なくとも「的確なサポートを入れられるだけの情報を所持している」ことになります。
しかし、スタッフ側にそれだけの報告等をしている覚えがない場合、その上司は情報をどこから仕入れているのでしょうか……?
情報を仕入れる場所は直接のコミュニケーションだけとは限りません。
- 誰かと話している会話の内容が聞こえてくる
- 電話の話の内容が聞こえてくる
- 悩んでいる様子が見える
- 集中して進んでいる様子がわかる
- 他の人との会話でその人の様子を知ることができる
様子を見ているだけでも、このような様々な情報が入ってきます。
特に最後の項目については、上司と対象のスタッフの両方と接しているほかのスタッフから入ってくる情報ですので、10人を超える人から情報を得ている場合も普通にあるケースです。
コミュニケーションラインはたった4人でも6本も存在しています。
テレワークではこのラインがほぼ機能しなくなる部分がでてきます。
そのコミュニケーションラインへの増加には、以下のように計算できます。
” コミュニケーションライン(L)と人数(P)の関係は、L=P(P-1)/2になります。ざっくりとした解釈は、人数の2乗に比例してライン数が増加してしまうことになります。 ”
中小企業のためのIT経営実践広場
人が増えるとコミュニケーションが急に混乱し始めませんか?より引用
しかし、テレワークの場合、サポートをするにあたって判断していた多くの情報が閉じられてしまいます。
その結果として、判断できるだけの情報を集めるために、たくさんの声をかけてしまうという状況が発生してしまいます。
細かな報告や確認の負担を減らすにはどうするといいの?
部署内では朝礼、夕礼、日報報告とテレワーク前よりも情報共有が逆にできるようになりました。 またテレワーク前に比べて部下が今どのような業務をしているのかも把握できるようになりました。
外出が多い部署などの場合、朝礼や夕礼で人がそろうこと自体が難しくなってきます。しかし、テレワークだからこそ朝礼や夕礼の時間がとりやすく、連絡を定時で取り合うことができるようになります。
また、この朝礼や夕礼には良い面もあり、そこまでに仕上げようという意識が生まれます。
WEB会議等が入っていて出られなかったとしても、日報をとりいれることでも、報告すべきものが存在するために従業員側としては仕事を意識しやすくなります。
そして、スタッフをマネジメントする立場の場合は、これらの報告がくるということで安心して自身の仕事に打ち込むことができるようにもなります。
ただし、この状況については良い面だけでないことには十分気を付ける必要があります。
報告を求められるということは、各スタッフには「必ずやらなくてはならない」というプレッシャーがかかります。それ自体は正当なものではありますが、例えば作業量の見積もりに誤りがあった場合や、予期しない問題があった場合にでもなんとか終わらせなくてはならないとなってしまった場合には、長時間労働へとつながります。
上司にはこうならないようなフォローや、調整をすることが求められます。
その為には、事前にそのような状況になった場合には、無理に対応をしようとするのではなく、きちんと相談をしてくるようにと通達をしておく等の対応は必要でしょう。
PCの稼働時間等で業務を確認すれば問題ないのでは?
中には、監視のシステム等で管理をするというケースもあるようですが、これらでチェックされているのは「仕事の内容」ではなく「仕事の時間」です。
これでは、質の高い仕事を実施する人や、効率よく働く人の評価は正しく行われません。
ここに陥ってしまった場合、優秀なスタッフは抜けて行ってしまいますし、そもそも時間でしか評価をすることができないという場合、業務の質の向上等については一切無視しますと言っている状態です。その場合は、より多く時間をかけられることをどう防ぐかというところが課題になってくるため、テレワークには不向きと言わざるを得ません。
コミュニケーションツールや報告のタイミングはなるべく絞って
連絡の手段で「話しかける」がなくなると、電話、メール、チャットが複数と返事や対応に追われて時間が足りなくなってしまった。
報告を求めるものも、緊急のもの以外は夕礼や日報以外では確認をしないようにしつつ、ツールも色々なものを使いすぎないように注意をする必要が必要です。
報告が重要なのは誰もがわかることですが、しかしそれで何かを生産できているわけではありません。
報告の手法等を明確に定め、それ以外については「やらないと決める」事が大事です。
報告に時間を取られて、本来の仕事が進まなくなるのは本末転倒ですので、心配になる上司の気持ちも理解はできますが、そこはぐっと堪えて、本当に必要なものを見極めて、現場に任せて仕事が回るようにマネジメントをしなければ、邪魔をしてしまう結果になってしまいます。
まとめ
テレワークには効率が良くなる等のいいこともたくさんあるのですが、その特性を把握し、それにあったマネジメントがされていない場合に効率が下がる結果になります。
以前に話題にも出しました通り、テレワークの見直しをする場合にはこういう声が上がっていないかを確認してみてください。
もし上がっていた場合には、是非見直しをして、より良いテレワークを行えるように改善を重ねていきましょう。
これらの見直しの際にはこちらの記事もぜひご覧ください。