仕事における評価方法で、定量評価と定性評価という言葉を聞いたことはありますか?
現在の企業で多く取られている評価は日本型雇用に伴う定性評価と言われる評価方法です。
しかし、この評価ではテレワーク中の仕事に対する評価項目については見えなくなり、急速に普及し始めたテレワークによる働き方では定量評価の必要性が高まってきました。

fonfun AnyClutchリモートやリモートメールをお使いのお客様からもテレワークを実施するにあたって評価制度に問題を感じているという声をお聞きしています。
評価制度はテレワークでの働き方を維持するにあたっても、重要なポイントの一つです。
これからさらにテレワークを推進させたい会社や、特に、部下を評価する立場にある人は、理解を深めておきたいところです。

結論から言えば、評価方法は会社の勤務体系等の状況に応じて使い分けるべきだと考えます。
その理由として、人間は感情の生き物だからです。
評価方法や基準によっては、納得ができない状況が発生するかもしれません。
定量評価と定性評価にはそれぞれ特徴があり、状況によって使い分けることで納得のいく評価をすることにつながり、利益の向上につながります。

この記事を読むと、人事評価に利用されている「定性評価」と「定量評価」の特徴と、その評価を使用すべき雇用形態、注意すべき点を理解することができます。

そもそも人事評価とはなにか

テレワーク中のサボりを防止し、従業員の満足度を上げるためにも評価は重要ですが、その前に企業にとっての人事評価とは何かという部分については、今一度おさえておく必要があります。

Wikipedia を検索すれば、人事評価についてはこのように書かれていることがすぐにわかります。

人事考課とは従業員の業務の遂行度、業績、能力を評価し、賃金や昇進等の人事施策に反映させる仕組みのこと

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この説明自体は事実その通りですが、会社として評価自体は「人を動かすための手段」の一つであることを理解しなくてはなりません。

そのため、評価方法はまず「会社をどのようにしていきたいか」という経営の面から考える必要があります。

もし今、「従業員がテレワークでサボっている」という場合は、それは会社がサボっても大丈夫な評価しかしていないためです。
ただし、テレワークで効率が下がったという問題については、評価だけでは解決しませんのでそこは混同しないようにしましょう。

定性評価とは?特徴や使い方について

定性評価とは日本型雇用ともつながっており、簡単に言えば数字で表すことのできない評価を指します。
例えば以下のような性質のものがあります。

  • 気持ち
  • 考え方
  • 仕事への姿勢
  • 努力
  • モチベーション
  • 目に見えない心配り
  • 勤務態度
  • 仕事のプロセス
  • 仕事への創意工夫
  • 知識
  • 規律性
  • 協調性
  • 責任感
  • 積極性

文章に表してみると、とても分かりやすいと思います。
いわゆる日本人が勤勉で周りに配慮できる人が多いという国民性を表しているようです。

このように人間性を高く評価する方法なので、新人など経験の浅い従業員でも長い時間をかけて教育するのに向いているやり方です。
以下に定性評価に関係する事例を紹介します。

定性評価に関係するもの

  • お客様の接客対応
  • お客様へのフォロー
  • 資料の改善
  • 所属する部署の業務効率を改善
  • オフィスの清掃に積極的に関与
  • 報告・連絡・相談が適切
  • 会議で積極的に意見を述べた
  • 身だしなみが職場に適切である
  • 挨拶が明るく印象が良い
  • 社内のイベントに積極的に関与する

探せばいくらでもありますが、定性評価がどういった性質のものかイメージできると思います。
人間関係を良好に築ける人は高めに評価されるというのがポイントになります。

定性評価の注意するところ

定性評価の気を付けるポイントは、数字で判断ができないことです。
ですので売上げ、受注件数、利益などの評価には全く向いていません。
そうすると、仕事を頑張った感を評価するという状況になってしまいます。

ですので、評価が主観にならないように多面評価を行いましょう。
例えば、上司・部下・同僚・顧客・自己など視点を広げて評価するようにしましょう。

定量評価とは?特徴や使い方について

定性評価と比べて明確に異なるのは、評価を数字で表すことができることにあります。
定量評価に向いているものを表す性質として、以下のものがあります。

  • 目で見えて分かりやすい
  • 具体性がある
  • どの立場の人も納得
  • 誰が見ても同じ評価
  • 数字でしか表せないもの
  • 結果・業績

このように、ハッキリと誰でも納得のできる評価を求められる場合に向いています。
例えば、上司が部下に対して適切に仕事を振り分けることで、部下の評価を上げることもできます。
そうすれば、部下のモチベーションも上がり、上司の信頼も得られます。
このように、定量評価は結果が重視される業種に相性がとても良いです。
以下に定量評価に関係する取り組みについて紹介します。

定量評価に関係するもの

  • 売上・利益・コスト
  • マーケティング・市場調査
  • 満足度調査
  • 統計調査
  • 受注件数
  • 目標達成度
  • 勤務時間
  • 作業時間

上記のように、数字で評価できるものが中心となってきます。
その他にも定量的な取り組みとして、
社内の満足度調査、研修を受けた回数、アンケートの回答などがあります。
会社内で様々な行動にどれだけ関わったのか? 回数や率を算出するというものです。

定量評価の注意するところ

評価を数字で表す場合にも、注意すべきところがあります。
まず目標などの設定が曖昧であることです。
曖昧な場合、目に見える正当な評価が出来ないので明確な数字を設定しましょう。

また、目標が到底クリアできない場合や簡単すぎる場合にも注意しましょう。
従業員のモチベーションが下がってしまいます。

その他にも、あまりにも目標が全てという状況も良くありません。
数字目標さえ達成すれば何をして良いという空気感が生まれたり、
プレッシャーがかかりすぎて、ブラック企業化してしまうかもしれません。
会社の規模や、従業員の能力など現実性をきちんと見据えながら適切な数字を設定しましょう。

定性評価・定量評価のまとめ

企業で働く人にとって、評価というのは時に曖昧で理不尽なケースもあると思います。

どんな人にも職場で役割があり、適性があるのです。
周りにいる人を励まし、快適にサポートしてくれる人はとても重宝されます。
しかしながら、思いやりのある人を定量的に評価することは難しいと思います。

それならば全ての評価を数字で表してしまえば誰もが納得できるかというと、
それも難しいと考えます。
売上成績はNo. 1だが、いつも周りの人に暴言や悪口が多ければ評価を下げたくもなりますよね。

繰り返しになりますが、人は感情で生きているので評価を固定するのは得策とは思えません。
お互いが納得し、高め合えるような関係がベストではないでしょうか?

全員が納得のできる完璧な評価は難しいかもしれませんが、
少しでも職場環境の改善にこの記事がお役に立てれば嬉しいです。