バーチャルオフィスをご存知ですか?
実際に入居しなくてもオフィスとしての機能を持っていて、事業を始める際に基本として必要な住所や電話番号などを借りることのできるサービスです。
サービスの信頼性はどうなのか?
バーチャルオフィスというサービスを単に「住所貸し」と捉えている方も多くいます。
そして実際に違法性はあるのでしょうか?
結論から言いますと、バーチャルオフィスの住所貸しにはそれだけで違法性はありません。
法人登記の際にも、法務局で申請が降りれば問題なく一般に公開することができます。
それでも、ネット検索で「バーチャルオフィス 違法」などで検索してみると、様々なトラブルがあることも分かります。
よくあるトラブルについて
- 詐欺に利用される
- 銀行口座が開設できない
- 特定商取引法の違反
バーチャルオフィスが登場したての頃は、投資詐欺会社などが悪用するために利用するケースが目立っていました。それゆえに違法性があるのではないかと思われているようです。
犯罪を防止する目的を背景として、本人確認も厳格化されているので、事業内容がきちんと確認できない場合は口座の開設も難しくなっているようです。
また、ネットを利用して商品を販売する場合は、特定商取引法によって定められている情報を開示しなければなりません。
消費者が問い合わせることのできる、住所、責任者の氏名、電話番号、メールアドレスなどを開示しなければ違反になります。
利用の許可がおりない業種について
バーチャルオフィスのサービス信頼性が低いという話ではないのですが、どうしても活動する実体がない住所であることがネックになり、利用するには許可がおりない業種もあります。
人材派遣業
「一般労働派遣業」と「特定労働派遣業に分かれており」とくに一般労働派遣業では20平方メートル以上の事務所が必須であること、賃貸契約書の提出も必須なのでバーチャルオフィスでは用件を満たせない業種になります。
職業紹介業
有料で職業紹介業をするにあたって、都道府県労働局をとおして厚生労働大臣の許可が必要です。ゆえに実体のある事業所が必要なので用件を満たせない業種になります。
士業(弁護士、司法書士、税理士など)
士業を行うにあたっても、それぞれの業界で事務所登録をする必要があります。
この場合にも、実体のある会社や住所が必要になります。
廃棄物処理業
産業廃棄物の処理を行う事業所は、都道府県や政令指定都市の許可が必要になります。
そのためには施設や能力が的確で継続的に処理を行えるかどうかが必要ですので、バーチャルオフィスで基準を満たすのは難しいです。
その他の業種
不動産業、建設業、古物商、探偵業、金融商品取引業、風俗営業などの業態でも、バーチャルオフィスで許可がおりない業種になります。
どんなサービスがあるのか?
バーチャルオフィスでよくあるサービスについてまとめてみました。
郵便物の受け取り・転送
事業を始めると、公開している住所で郵便物を受け取る必要が出てきます。
バーチャルオフィスでも受け取ってくれることが殆どです。それでも受け取った郵便物の扱いについては、サービス内容によって変わります。
- 転送は行ってくれるのか?
- どれくらいの期間で転送してくれるのか?
- 受け取りや転送の費用は?
- 本人限定など受け取れないものはあるか?
上記にあるような内容はトラブルを防ぐためにも事前に確認しましょう。
デスクや会議室の利用
バーチャルオフィスとはいえ、デスクや会議室の利用可能なサービスもあります。
対面して話ができるスペースが必要な業種は多いと思います。
デスクはそもそも作業スペースを必要としない方向けのサービスということで利用不可の場合が多いですが、会議室は多くの場合備えているようです。
電話番号・FAXの利用
事業を行うにあたって、固定の電話番号を持つことは相手に与えるイメージも違ってきます。
それゆえに、多くのバーチャルオフィスでは電話転送・FAX転送などのサービスを行っています。
サービス内容をチェックしておきましょう。
- 転送方法は?(自動、オペレーター対応など)
- 利用料金は?
- 番号は持ち込めるのか?
- サービス終了時に番号は持ち出せるのか?
他にも電話秘書代行など、多彩なサービスがありますので必要なサービスが使えるのか確認しておきましょう。
利用料金の相場・違いとは?
バーチャルオフィスの利用料金は、格安であれば月額1,000円以下のものから、月額数万円以上のものまで幅広くあります。
以下の表にオフィスのグレードで変わる傾向と特徴をまとめてみました。
低額グレード | 高額グレード | |
住所 | ローカルなエリアが多い | 人気のあるエリア、一等地 |
オフィスビルのスペック | 賃貸マンションなど | 高層ビル、賃貸オフィス |
料金体系 | 最低限のサービスで、追加作業は 別途料金が発生することが多い | 電話代行・転送サービスなど 料金込みも多い |
設備 | 利用できない場合も多い | 無料スペースが 豊富にあることが多い |
スタッフの有無 | 無人が多い | 常駐されていることが多い |
会議室の有無 | 無い、もしくは清潔ではない 場合もある | 豊富に用意されている ことが多い |
郵送物の受け取り・転送 | 対応していない場合がある | 対応している |
信頼性・審査 | 審査が緩く、悪用されるリスクもある | 対面審査を徹底し、 悪用する人を排除するように している |
契約期間 | 1年などの長期契約が多い | 1ヶ月単位など柔軟に 対応していることが多い |
使うサービスによっても変わりますが、安くて審査が簡単などには特に注意しましょう。
悪用目的の業者にも利用されやすいなどの理由で住所に傷がつくかもしれません。
オフィスを利用する目的に応じて、契約する前に確認するようにしましょう。
バーチャルオフィスまとめ
バーチャルオフィスを利用する理由は人それぞれです。
法人設立で住所のために借りる人もいれば、住所を借りるだけではなく会議室も使いたいなど目的に応じて変わりますし、価格も選択肢になります。
また、バーチャルオフィスを利用した方が良い人もいます。
作業が自宅で完結するような人でも、法人登記ができない、信頼性が弱い、また女性の場合は住所を知られてしまうといったプライバシーの問題もあります。
これからはテレワークの浸透もあり、
オンライン上で完了する仕事が増えてくることも予想されるため、実際のオフィスを借りずに事業をする人も増えてくると思われます。
バーチャルオフィスという選択肢を持っておけば、事業にかかるコストを大きく減らすことも出来るかもしれません。