政府が働き方改革を進める活動として、テレワークデイズという言葉を聴いたことがありますか? 2017年から始まった日本政府が推し進める国民運動です。
東京オリンピック開催期間中の交通混雑を緩和させることを目的として2019年は7/22(月)~9/6(金)の約1か月間で本番前のテストが行われました。
ちなみにテレワークとは、「離れた所で働く」という意味になります。
IT機器を駆使して会社にいなくても働けるようにしようという施策です。
この記事ではこれまでのテレワークの活動結果と今後考えられる課題などをまとめました。
テレワークは普及しているのか?
2017年からテスト運用されているテレワークデイズですが、実際に成果はどうなのか?
事務局に集計されたデータの結論からするとテレワークは着実に認知度を高めていて、大手企業を中心にテスト運用する企業も増えています。
また集計された団体は以下の3つに分かれております。
実施団体
参加人数などを問わず、テレワークを実施またはトライアルを行う団体
特別協力団体
テレワークの実施に際し、3つの条件を加えています。
・2日間以上実施
・7/24(火)に100名以上実施
・効果測定(交通混雑の緩和、消費支出の変化)に協力可能な団体
応援団体
テレワークに係る実施ノウハウ、ワークスペース、ソフトウェア等を提供する団体。※実施団体、または特別協力団体とあわせて登録が可能です。
テレワーク普及率の推移
実際に2017年からの集計をまとめてみると、確実に右肩上がりで普及していることが分かります。
2019年の目標としては「3000団体、60万人以上の参加」を目指していましたが、結果は「2887団体、68万人」がテレワークデイズのプロジェクトに参加しました。
この数字からも着実にプロジェクトが推進されているようです。
テスト運用時に 様々な形態のテレワーク(在宅、モバイル、サテライトオフィス)の実施を行い、時差出勤、フレックスタイム、ワーケーション等を組み合わせた検証も行われております。
より実用的なデータが得られているので導入する企業にとっても参考になるデータが得られそうです。
オリンピックの交通混雑はどうなるのか?
つづいて参考にした資料をもとに、通勤者減少量の調査をまとめました。
オリンピック前にテストした結果は、確実に効果のあることが分かっています。
東京都23区の通勤者減少量トップ10を調べてみると軒並み10%以上減少しています。
全体の結果としては、東京23区全体で通勤者が1日あたり約26.8万人減少、週間平均では134.1万人となり、-9.2%の減少となっています。
区別では千代田区、港区、新宿区、中央区など都心部で減少量が多いようです。
2019年と2018の通勤者数の比較
2018年から2019年にかけてテレワークの導入率があがり、通勤者数が減少したことが一目で分かります。
それでもオリンピックの混雑を回避できるという想定ではなく綿密に計画が練られています。
(※1)具体的な計画として、大会関係者および観客の安全で円滑な輸送と、物流を含めた都市活動の安定を両立させる施策があります。
(※1重点的に取り組む地域限定でおこなう)
オリンピック期間中は一般道路や高速道路を休日並みの道路状況にすることを目指してマネジメント活動を行っています。
業務効率化とコスト削減効果について
実施調査によって企業が気になる業務効率化とコスト削減効果についても、オフィス事務及び残業時間など、すべての指標で大幅な削減効果がみられました。
具体的に何がどれぐらい減少したのか?箇条書きでまとめてみました。
- 事務用紙は約38%減少(2018年は約14%)13社平均
- 残業時間は 約44.6%減少(2018年は約45%)30社平均
- 会議室・スペースの稼働率は約42.9%減少 27社平均
- 旅費・交通費の総額は約9.6%減少 12社平均
- 消費電力は最大69%、平均9.1%減少 21社
実際に数字でコスト削減の効果が実感できますね。
かなりメリットが大きいと思われます。さらに特別団体協力にたいして「実際に感じたメリットや効果」をアンケートして回答してもらった事例があります。
第一位 「就労者の移動時間の短縮」
テレワークの実施により、移動時間の短縮で8割の団体に成果がありました。
在宅であれば通勤時間は0なのでやはり効果があります。
第二位 「業務の生産性向上」
アンケートの結果から6割以上の団体が生産性が上がったと回答しています。
さらに 93%の社員が働く場所を変えても通常通り、もしくはそれ以上の生産性だと感じています。
やはり集中した環境で働くメリットがあるようです。
第三位 「 就労者の生活環境の改善 」
こちらもアンケートの結果から6割以上の団体で成果があります。
通勤による疲労が軽減されるようです。
さらに浮いた通勤時間で家族との時間、休息、趣味や家事などにあてられることでメンタル向上に貢献しています。
テレワークの今後は?
テレワークの実態について、2017年から2019年までの比較と検証した結果などをまとめましたが、着実に浸透していることが数字で明確でした。
今後はさらに普及が推進されると予想されますが、同時に課題が明確に見えてきたので最後にまとめてました。
今後の課題
- 環境整備(PCやスマホなどの端末、回線、会議用ツールの選定)
- 労務管理(社員の心理面、委託している場合の人事管理、健康など)
- セキュリティ(情報漏洩リスク、PCの持ち出しなどによるリスク)
- オフィス環境(外部オフィスの混雑、育児などで集中できない環境)
- コミュニケーション(会議、イベントの運営、信頼感の不足など)
- 理解と促進(職場風土に合わない、上司同僚の理解など)
他にも派遣社員はテレワークが難しいことやペーパーレス化できない仕事による二度手間をどうするか? といった内容を改善していく業務があります。
いまは大企業が中心となって実験的に導入されていますが、より実践的な施策が普及してくれば、中小企業でも導入するケースが加速していくと思います。
企業と社員にとって有益なテレワークを今後の課題とするのは時代に見合った考え方だと言えます。