質問させてください。
テレワークを導入するための課題を明確にしていますか? 
考えがまとまらず、どこから調べればいいか難しくないでしょうか?
じつは私もそうでした。

そこでテレワーク導入の課題を分かりやすくまとめました。
情報の信用性については、厚生労働省委託事業主の「テレワーク相談センター」が発行する資料の検証結果を元にしています。

すでにテレワークの課題をクリアしているのであれば、
このページは読まなくても大丈夫です。
まずはじめに抑えておきたい考え方が3つあります。

はじめから完璧をもとめない
社内資源を有効活用しコストを出来る限りおさえる
システムの利便性と情報漏洩リスクは両立がむずかしい

導入の課題を考える前に、3つの考え方を覚えておきましょう。

テレワーク導入前に全体像をイメージしましょう

まず初めに考えるべき課題の全体像を把握しましょう。
主に3つの項目で構成されています。

ICT(情報通信技術)の課題

テレワーク実施者が自宅など離れた場所からでも、快適に働けるようなシステム・ツールの選定が課題となります。
そのうえでコストと利便性も求められます。

経営者と従業員の課題

テレワークを実施する前に、まず経営者の理解と体制の獲得が課題です。
さらに従業員のニーズをくみ取り、実施する業務の選定などが必要になります。

労務・人事の課題

テレワーク実施者が適切な労働環境で働けるように、法律の整備が課題です。
そのほか従業員の教育や研修も行う必要となります。

上記3つの観点について、それぞれの課題を掘り下げていきます。

ICT環境整備(端末・回線・ツール)の課題

テレワークを導入するには「 端末・回線・ツール」の環境整備が必須です。
理想的にはオフィスと同じ環境ですが、コストを出来る限り抑えることも課題です。
またシステムの利便性とセキュリティ対策はバランスが求められます。

テレワークで使用する端末

従業員が利用する、PCやスマホなどの端末を、そのままテレワークに対応できるのか? まずは把握しましょう。
もし端末を買い替える場合は、端末コストがかかります。

ネットワーク構築に必要な3つの回線

①モバイル端末で自宅(外部オフィス)から会社に接続する回線
②会社にあるPC同士の連携と、共有サーバーの連携
③会社にあるPCからインターネットにつなぐ企業内ネットワーク

テレワークで使用するツール

コミュニケーションツール

  • 会議システム(Webカメラを使用する)
  • チャットツール(メールより短い文章に使う)
  • スケジュール管理ツール(従業員同士のスケジュールを把握)
  • データ共有ツール(社内の必要な情報にアクセス)

労務管理ツール

  • 勤怠管理ツール(テレワークの始業・終業時刻を管理)
  • プレゼンス管理ツール(従業員の在籍確認・業務状況を確認)
  • 業務管理ツール(業務の見える化や調整)

経営者とテレワーク対象者の課題

テレワークを導入するために、まず経営者の理解を得ましょう。
その次にテレワーク対象者の業務と頻度を考えます。

経営者が抱える疑問

経営者がテレワークに疑問を抱えていると、会社に有益と思っていても導入に踏み出すのは難しいです。
よくあるテレワークへの疑問をまとめました。

  • テレワークに対応できる業務が分からない
  • 実際に仕事が回るのか心配
  • 従業員がサボるのではないか不安
  • 反対派の意見に対する抵抗感
  • 社員同士の不公平感への対策
  • コミュニケーションの不足
  • 情報セキュリティ対策

対象者の選定

テレワークによる従業員の不公平感は、どう対処するのかが課題です。
まずは対象となる従業員のニーズを聴いてみましょう。
そして最終的な実施の選択は、本人の意思を尊重しましょう。

対象業務の整理

テレワークの対象となる業務の洗い出しは重要です。
自社で実施しやすい業務と、そうではない業務を整理しましょう。

評価および計測

テレワーク対象業務は、導入前後で比較できる基準を設けましょう。
具体的に評価および計測できる方法にしましょう。
以下に例があります。

  • 業務にかかる時間(具体的にする)
  • 使用する書類(紙か電子ファイルか)
  • コミュニケーション(業務に必要な人数、関係者とのやり取りの頻度)
  • 従業員の満足度
  • 管理職の業務
  • 業務コスト

テレワーク実施参考資料

下記の資料は、実際にテレワークを実施している企業へのアンケート結果です。
よく実施されている業務から一部テレワークを取り入れてみるのもオススメです。

厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/tele-koujireisyuuH26.pdf

資料のポイント

  • 資料の作成・修正・管理
  • 上司や同僚、顧客先や取引先等との連絡・調整
  • 社内手続き

労務・人事の課題

従業員が常時10人以上いる企業では、テレワーク勤務に関する就業規則の作成・変更が必要であり、2つのパターンがあります。
「就業規則本体」に直接規定する場合と、「テレワーク勤務規程」として個別に定める場合に分かれます。
いずれも規定を作成・変更した場合は、所定の手続を経て所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。

テレワークに必要な就業規則規定(従業員が常時10人以上の場合)

  • テレワーク勤務を命じることに関する規定
  • テレワーク勤務用の労働時間を設ける場合の労働時間に関する規定
  • 通信費などの負担に関する規定
厚生労働省 「テレワーク導入のため労務管理等Q&A集」
https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/13.pdf

従業員が常時10人未満の会社であれば、就業規則の作成・届出は義務ではありません。
ですがテレワークによる従業員とのトラブルを未然に防ぐためにも、労使協定を結んだり労働条件通知書などがあると万全です。

テレワークを導入するための研修

テレワークの知識は従業員によって差があるため、教育・研修が必要です。
以下にある3つのポイントで学ぶ機会を設けましょう。

①テレワーク時の目的・必要性の理解
②テレワーク時の体制について理解する
③テレワーク時のツールを操作できるようになる

研修項目の具体例

  • テレワークとは?
  • テレワークの位置付け、目的・必要性と得られる効果
  • 導入計画と導入後の流れ
  • 導入による働き方改革
  • テレワークによる社内規定と手続き
  • テレワーク環境による勤怠管理、業務管理
  • テレワーク環境での従業員の指導と育成
  • 人事評価
  • テレワークに係るシステム・ツールの使用説明と操作方法
  • 情報セキュリティについて(ツール利用上の注意)
  • テレワーク時の連絡方法(トラブル時の解決も含む)

テレワーク課題まとめ

いかがでしたか? テレワークの課題とは、要約すると「人・環境・法律」が関係しています。
まだ未知の領域でもありますが、すでに得られているデータを元にすれば、テレワークを導入する価値は充分にあると言えます。
政府も推進するプロジェクトですので、社会全体で取り入れる団体・企業が増えてくれば、これからは中小企業でも普及していくかもしれません。
今すぐじゃなくても、準備しておくと困らないですよね。