最近では国の後押しもあってテレワークが推進されている傾向にあります。
2020年は東京オリンピックも開催されてうれしいことである反面、企業に勤める人は大混雑により出勤が困難になると予想されているのもまた事実です。
そのため、テレワークを導入することを検討している企業も増えています。
この記事では実際にテレワークを導入した場合のメリットやデメリットを企業側と社員側の視点からまとめてみました。
テレワークのメリット(企業)
まずはテレワークの導入にあたって、企業側の目線からメリットを挙げていきます。うまく機能すればかなりのメリットが得られます。
社員の生産性がアップ
仕事の内容または環境を上手に構築することができれば、社員の生産性が上がります。研究によって成果の上がりやすい方法論なども展開されており、企業の体質に合わせてテレワークですべて統一するというより、一部取り入れている企業もあります。また、社員が働く時間にとらわれないことで個々にあった仕事の取り組みができることで生産性が上がります。
国や自治体から助成金を受けられる
総務省の発表によると、2016年6月の時点でアメリカでは85%の企業がテレワークを導入していることが分かっております。またイギリスでは約38%の企業が導入していることが分かっております。日本でも同様に普及を目指して政府が促進しているため、国や自治体などから助成金をうけられる場合があります。
例)厚生労働省 【時間外労働等改善助成金(テレワークコース)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html
オフィスコスト・通勤手当の削減
テレワークを導入することで様々なオフィスコストを削減できる可能性があります、オフィスに出勤しなくても働ける従業員がいれば物理的なスペースをカットできるので賃料を抑えられます。また従業員の通勤手当もカットできます。
雇用機会の創出
従業員の働く場所や時間にとらわれないことで、雇用の幅を広げることができます。在宅で完了する仕事でネット環境やIT機器などが整備されていれば、世界中どこにいても雇用を生み出すことができます。
災害などのリスクに対処できる
東日本大震災などのような大災害で交通機関がストップしても、在宅で仕事ができれば業務を続けることができるので、事業の損失を減らすことができます。
離職率を下げられる
育児や介護などによる理由の離職率を減らすことができます。またワークスタイルの改革によって従業員の満足度が上がり、一部の企業では25%あった離職率を3%ほどにまで減少させているようです。
企業のイメージアップにつながる
働きやすい職場づくりを行っている会社として、先進的なイメージを持たれやすくイメージアップにつながります。また障がい者であっても働ける環境をつくることができれば社会貢献と同時にクリーンなイメージアップにつながります。
テレワークのメリット(従業員)
つづいて従業員の視点からみたメリットを挙げてみたいと思います。
より自由なワークスタイルが求められる現代において、良い環境が構築できれば従業員にとってもメリットが多いです。
働く場所にとらわれない
テレワークであれば、自宅やカフェなど好きな場所で仕事ができる。そうなれば住む場所も選ばないので、生活スタイルに合わせて自由に働く場所を決めることができます。
働く時間にとらわれない
オフィスに出社する必要がないので、働く時間を自分でコントロールしやすいです。当然ながら企業のルール、与えられた仕事の内容などによって時間の制約は発生しますが、かなり自由なワークスタイルを確立することができます。
育児や介護などと両立できる
在宅で完結する仕事内容であれば、育児や介護などの必要がある場合でも両立できる可能性があります。また夫婦で共働きの家庭でも家事などに時間を割くこともできます。
通勤時間をなくすことができる
在宅で仕事ができるので、通勤時間をゼロにすることができます。
確実に移動時間が減少するので、浮いた時間を有効に使えば生産性を上げることができます。例えば浮いた時間で睡眠をしっかり取る、リラックスタイムを設ける、情報収集を行うなどの有益な時間を捻出できます。
自分の集中しやすい環境で働ける
オフィスと比べて、自分の好きな環境で働くことができます。
例えば、仕事中に声をかけられる、雑務を頼まれる、電話に出る、過度なコミュニケーションなどが発生しないので仕事に集中できます。
体調が不安定、障害があっても働ける
障害があってオフィスに勤務することが出来ない人でも、テレワークなら働ける可能性があります。また、通院や体調管理などによる制約の多い人でも働ける可能性があります。
テレワークのデメリット(企業)
テレワークはメリットも多いですが、当然ながらデメリットについても企業側できちんと理解しておくことが大切になります。主に環境構築と人材管理の視点が重要になります。
ITネットワーク・端末などの管理が難しい
社員が同じ端末、ネットワーク環境を使用しないため管理が煩雑になりがちです。社員に端末を支給するのか? それともBYODで構築するのか?
検討したうえで環境を整備するアプリやソフトウェアなどの導入が必要になります。
セキュリティ対策が不安
端末やネットワークの環境が整備されていないと、セキュリティが弱く情報漏洩やハッキングなどのリスクが高まります。対策するためにはアプリやソフトウェアの導入が必要になります。
社員の意欲が下がりサボるかもしれない
社員同士のコミュニケーションが減少することで、モチベーションが下がり仕事の手を抜いてしまう可能性があります。具体的な行動設定や、目標の管理などをしっかり共有する必要があります。
IT端末を使う仕事に限定される
仕事のやり取りをオンライン上で行うため、物理的に対応できない仕事が発生します。そのためテレワーク導入前に滞る業務が発生しないのか? 仕事の流れを想定する必要があります。
勤怠管理があいまいになりやすい
社員がより自由に働ける反面、タイムカードなどによる勤怠管理が出来なくなって勤務時間があいまいになる可能性があります。社員のPCをスクリーンショットなどで記録する別途ツールを導入するなどの対策が必要になります。
労働状況・勤務態度の人事評価が難しい
仕事のやり取りがオンライン上で完結するため社員がどんな環境で働いているのか? どんな勤務態度で仕事に臨んでいるのか? 人事が把握するのは難しくなります。仕事の成果を明確に評価できる環境やルール設定などが必要になります。
テレワークのデメリット(社員)
つづいて、社員の目線からデメリットを挙げていきます。主に自己管理と企業からの評価が重要なポイントになります。
孤立感が生まれやすい
社員同士のコミュニケーション減少するので、孤独が苦手な人にとっては孤立感が生まれやすくなります。定期的にオンラインミーティングを行うなどコミュニケーション不足を補う対策が必要になります。
社員同士の公平感がなくなる
オフィスで働く人にとっては、不公平だと感じる社員がいるかもしれません。もし社員同士で勤務条件に納得できない場合には不公平感が生まれてしまうかもしれません。
社員同士の責任感が弱まる
社員同士のコミュニケーションが減少し、仕事の責任があいまいになる可能性があります。離れていてもチームワークを大切にして役割をしっかり認識することが必要になります。
自分で時間管理をしなければならない
スケジュール管理の苦手な社員がいると、仕事が遅れてしまう可能性が高くなります。最悪の場合は納期に間に合わないなどのリスクが発生しますので、適度な緊張感を保つ必要があります。
勤怠の管理があいまいになりやすい
就業時間があいまいになってしまうと、残業として申請することが出来ないなどのリスクが発生します。働いた時間を正確に記録するツールなどの導入が必要になります。
長時間労働になる
働く時間や場所が自由である反面、自己管理が苦手な人にとってはダラダラと仕事をしてしまったり、サボってしまうなどの理由で生産性が落ちてしまい、長時間労働になる可能性があります。
労働状況・勤務態度などの評価があいまいになる
社員にとって労働に対して正当な評価を受けられない可能性があります。また、企業側からも業務のプロセスが見えにくく評価をするのが難しくなります。このような状況を防ぐためにも、社員がどのように考え、なぜ実行したのか? そして改善するにはどうするのか? このような内容を共有することで業務プロセスを見える化する必要があります。
仕事のON/OFF切り替えが難しい
在宅勤務になると休んでいるときにも仕事の連絡がくるため、ONとOFFの区別がつきにくくなり、人によっては休む間がないと感じる人もいるようです。導入後は社員の声を聴きながら柔軟に対応する必要があります。
家族から用事を頼まれやすい
在宅で仕事をしていると、家族から仕事と関係のない用事を頼まれることが増えます。また育児などで仕事が手につかなくなる可能性もあります。
運動不足になる
通勤などによる移動がなくなるので、必然的に運動不足になります。
休憩などの際には積極的に散歩を取り入れるなどの工夫をしないと健康を害してしまう可能性もあります。
テレワークの課題とまとめ
テレワークのメリットとデメリットについて網羅してきましたが、それらを踏まえてテレワークの課題を箇条書きでまとめてみました。
企業の課題
- 運用ルールの設定と徹底した管理
- 環境整備(ネットワーク・端末・セキュリティ)
- 勤怠の管理
- 社員の教育と育成
- 社員の評価制度
従業員の課題
- 勤務時間の管理
- 勤務評価
- コミュニケーション
- モチベーションの維持
- 仕事のON/OFF切り替え
上記のように様々な課題がありますが、これらの課題をクリア出来ればテレワークは企業と社員双方にとってのメリットが大きく、導入する価値は高いのではないかと思います。また、国も推し進めている分野ですので今後は積極的に取り入れる企業も増えてくると考えられます。参考までに本記事に書いてあることがお役に立てれば嬉しく思います。